ブログ

2026.04.18

小学生サッカーのフィジカル|元プロが語るゴールデンエイジの正解

WRITTEN BYこの記事を書いたのは

辻尾真二

辻尾 真二GRITcoaching 代表 / 元プロサッカー選手

2012 J1優勝元Jリーガーサイドバック

中学時代は地元の部活でプレーし、高校選手権での全国大会出場をきっかけにプロを目指す。清水エスパルス、サンフレッチェ広島(2012年 J1優勝)などでサイドバックとしてプレー。現在は「やり抜く力(グリット)」と科学的メソッドを軸に、小学生・中学生の指導にあたる。

選手経歴を見る
  • 2008-2012 清水エスパルス
  • 2012 サンフレッチェ広島(J1優勝)
  • 2013 大分トリニータ
  • 2014-2016 ツエーゲン金沢
  • 2017-2018 SC相模原

こんにちは、GRITcoaching 代表の辻尾真二です。

「うちの子、試合になるとすぐ当たり負けしてしまう」「足は遅くないのに、相手を抜けない」——保護者の皆さんからいただくご相談で、本当によく出てくる悩みです。グラウンドの外から我が子がなかなか結果を出せない姿を見続けるのは、本当に辛いですよね。そのお気持ち、僕もスクールで何百人もの親御さんと話してきて、毎回胸に残ります。

今日は、僕が元プロとしてピッチに立ってきた立場から、小学生年代のサッカーとフィジカルについて、正直に思っていることをお話しさせてください。「熱く語りたい派」なので、少し前のめりな文章になるかもしれません。どうかお付き合いください。

先に結論からお伝えします。小学生期のフィジカルの正解は「筋肉を大きくすること」ではなく、「神経系に正しい動きを刻むこと」です。ここを取り違えてしまうと、せっかくの練習が成長期の身体にとってマイナスに働くこともあるんです。この記事では、なぜそう言えるのか、じゃあ具体的に何をすればいいのかを、家庭で今日からできるメニューまで落とし込んで書いていきます。

こんな悩み、ひとつでも当てはまりませんか?

ひとりでストレッチをする人のシルエット

まず、保護者の皆さんからよくいただく声を並べてみます。

ひとつでも頷いた方は、どうぞこのまま読み進めてください。どれも、本当に多くのご家庭で聞く悩みです。あなたのお子さんだけじゃありません。そして、どれも小学生期の正しいフィジカルの理解があれば、方向は必ず変えていけます。僕はそう確信しています。

当たり負けしない体の正体——本当の原因は「筋力差」ではない

朝日を背にジャンプする人のシルエット

一番ご相談の多い「当たり負け」から話します。世の中の多くの記事では「体幹を鍛えれば解決」と書かれていますが、プロの現場を見てきた立場から正直に言わせてください。当たり負けの正体は、筋力差じゃないんです。

プロの世界でも、小柄な選手が押し負けない理由

JリーグにもJ2にも、身長165cm台で屈強な外国籍ディフェンダーを跳ね返す選手がたくさんいます。彼らが筋肉量で勝っているわけではありません。決定的に違うのは、次の3つなんです。

  1. 接触の「タイミング」 — 相手が足を踏み出す一瞬前に、先に体を入れる
  2. 接触の「姿勢」 — 膝と腰をわずかに落とし、重心を相手より低くする
  3. 接触の「予測」 — ぶつかる前に、相手の矢印(進行方向)を読んでいる

筋肉じゃなく、「いつ・どの姿勢で・どう体を当てるか」の判断と運動神経。これが「当たり負けしない身体」の正体です。そして良いお知らせがあります。この3つは、体が小さくても、小学生のうちから十分に身につけられます。むしろ、身体が重くなる前の今だからこそ染み込みやすい、というのが僕の実感です。

「体が小さいから仕方ない」で止まらない

「うちは背が低いから当たり負けしても仕方ない」と諦めてしまう保護者の方が、実はすごく多いんです。でも、少しだけ視点を足してもらえませんか。体格を責める方向に意識を向けるより、姿勢と重心を育てる方向に向ける。後者のほうが、今日から変えられることがずっと多いんです。

僕自身、プロ時代に一番きつかったのは、どれだけ良いパフォーマンスをしていても試合に出られない時期があったことでした。そこで学んだのは、要因を外に求めず、自分自身にベクトルを向けて調整していくという姿勢です。この考え方は、お子さんのサッカーにもそのまま当てはまります。「体が小さいから」で外に原因を置くと、そこから先に進めなくなる。でも「姿勢と重心は今日から変えられる」と自分側に戻せば、扉は開きます。

ゴールデンエイジに伸ばすべきフィジカル5要素

上空から見た陸上トラックを走る選手たち

GRITcoaching では、小学生期のフィジカルを次の5要素で整理しています。これは日本代表レベルで長く現場を見てきたフィジカルコーチの視点に基づいた、抜け漏れのないフレームです。

要素小学生期の狙い家庭でできること
①スピード初速・一歩目・方向転換ラインまたぎ・ミニハードル・鬼ごっこ
②持久力90分動ける心肺と回復力遊びの中で連続して動く時間を確保
③筋力自重中心の出力。大きな重量はNG腕立て・もも上げ・片足スクワット少数
④柔軟性怪我予防と可動域お風呂上がりの股関節ストレッチ
⑤バランス体幹・重心操作・コンタクト耐性片足立ち・プランク・バランスボール

大事なのは、「どれか一つだけ」を突出して鍛えないことです。小学生期は、5要素を満遍なく・神経系への刺激として入れていくのがセオリーなんです。

なぜ「神経系」が先で、「筋肉」が後なのか

スキャモンの発育発達曲線というものがあります。人間の神経系は9〜12歳頃に成人の約90〜95%まで到達し、一方で筋肉を大きくする能力(筋量)が急に伸びるのはその後の思春期以降だと言われています。

つまり、小学生期は「動きを覚える天才」で、「筋肉をつけるのは下手な時期」なんです。ここで筋トレに時間を割くのは、ゴールデンエイジという一度きりのボーナスタイムを無駄遣いすることに等しい。プロアカデミーの現場でも、小学生年代に重たいバーベルを持たせる指導者は、僕が見てきた限り一人もいませんでした。

想像してみてください。今お子さんが覚えた一歩目の踏み出し方は、一生モノとして身体に刻まれます。逆に言えば、今間違った動きを覚えると、それもずっと残ってしまう。だからこそ小学生期のフィジカルトレーニングは、「何をやるか」と同じくらい「何をやらないか」が重要なんです。

小学生期にやってはいけないフィジカルトレーニング4つ

ここは多くの記事が「軽めに」と濁している部分です。でも、保護者の皆さんが本当に知りたいのは具体的なNGラインですよね。はっきり書きます。

NG①:重いウエイトを使った本格的な筋トレ

バーベルスクワットやデッドリフトなど、高重量を扱うトレーニングは、成長期の骨端線(骨の端にある成長軟骨)に大きな負担がかかる可能性が指摘されています。骨端線は身長が伸びる工場のような場所なんです。ここに過剰な負担をかけるリスクは、僕は冒したくありません。本格的なウエイトは、高校生(16歳以降)からで十分間に合います。

NG②:うさぎ跳びの繰り返し

昭和の部活でおなじみだったうさぎ跳びは、今では推奨されません。膝関節への過負荷に加え、10〜15歳前後に発症しやすいオスグッド・シュラッター病(脛の骨が出っ張って痛む成長期スポーツ障害)の引き金になる可能性があると言われています。

NG③:連続ジャンプ・連続ダッシュの詰め込み

ジャンプやダッシュ自体は悪くありません。問題は「痛みを我慢させて続ける量」です。膝や脛に違和感が出たら、必ず休ませてあげてください。これは根性の問題じゃなく、身体が今出している信号の問題です。

NG④:小学生へのプロテイン「頼み」

プロテイン=悪、ではありません。ただ、小学生期は日常の食事でタンパク質を摂れている限り、サプリに頼る必要はほぼないというのが僕の立場です。ご飯・肉・魚・卵・大豆・乳製品をバランスよく食べる。これ以上のシンプルで確実な答えは、残念ながら見つかっていません。

家庭でできる3〜5分メニュー(器具いらず)

家の中で縄跳びをする子どもの後ろ姿

じゃあ、ここからは今日からご家庭で試せるメニューを紹介します。どれも特別な器具はいりません。寝る前やお風呂上がりの数分で完結します。小学生の体幹の鍛え方として、まずはシンプルな自重メニューから始めましょう。

①フロントプランク30秒×2

肘をつき、頭からかかとまで一直線。お腹を凹ませ、お尻が落ちないように。30秒キープを2セット。毎日やる必要はありません。週3日で十分です。大切なのは回数より、1秒1秒の姿勢の正確さ。

ベネフィットはシンプルです。接触の瞬間に体が流れなくなる。ボールを守れる時間が伸びる。試合後、お子さんが「今日、奪われなかった」とポツリと呟く日が、きっと来ます。そういう瞬間のために、僕はこの仕事をしています。

②片足立ち30秒×左右

テレビを見ながらで構いません。目を開けたまま片足で立ち、30秒キープ。慣れたら目を閉じる。これだけで、軸足の安定感と重心感覚が研ぎ澄まされていきます。一歩目の速さとも直結する、地味ですけど最強のメニューです。

③カニ歩き・クモ歩き(低学年に特におすすめ)

両手両足を床につけたまま、カニのように横移動、クモのように後ろに進む。笑いながらで全然OKです。一緒に楽しむ。これ、僕が指導で絶対に譲らない価値観の一つなんです。全身の連動と体幹が同時に育ちます。兄弟姉妹がいるご家庭なら、競争にすると盛り上がりますよ。

④お風呂上がりの股関節ストレッチ1分

開脚前屈・あぐら前屈・腸腰筋のストレッチ各20秒ずつ。柔軟性は、ボディコントロールの前提条件です。股関節が硬い選手は、一歩目の踏み出し角度が浅くなって、結果としてスピードにも上限ができてしまいます。

家庭でできることの限界——そして、次の一歩

一本道を走るランナー

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。お気づきかもしれませんが、家庭でできる範囲には正直、はっきりとした限界があるんです。

理由は3つあります。

  1. フォームの微調整が親御さんには難しい — プランク一つとっても、お尻の高さと骨盤の角度で効き方が180度変わります
  2. 5要素をバランスよく組み合わせる設計が要る — スピード/持久力/筋力/柔軟性/バランスを、お子さん個別の発達段階に合わせて配分する作業は、専門知識なしにはかなり骨が折れます
  3. 成長期の身体に「安全に」負荷を設計する判断 — 骨端線・オスグッドへの配慮を日常的に持てる方は、保護者の中にはそうそういません。プロの現場ではこれを専門家が担っています

ここを放置したまま中学に上がると、正直に言ってスピード差・接触耐性の差は広がっていく一方です。逆に今、正しい土台を作っておけば、戦術理解が爆発的に伸びる中学生期に、頭で分かったことを身体で体現できる選手になれます。僕がずっと「向上心のある選手は絶対伸びる」と言い続けているのは、土台さえ整えば意欲は必ず結果に変わる、という確信があるからです。

GRITcoaching 小学生コースの指導体制

この「家庭でできることの限界」を埋めるために、当スクールは少し変わった体制をとっています。

メニュー監修は、元日本代表フィジカルコーチの津越智雄(つこし ともお)。日本代表レベルで「成長期の身体に何をしていいか・何をしてはいけないか」を判断し続けてきた人物が、小学生コースのメニュー設計に責任を持っています。これは一般的な少年団・街クラブではまず見ない体制です。

そして通常トレーニングのメインコーチは、元Jリーガーの保崎淳。Jリーグで長くプレーしてきた感覚を、毎週のピッチで子どもたちに直接伝えています。僕、辻尾真二は統括責任者として全体を見ていますが、普段のトレーニングのメインはあくまで保崎コーチです(短期集中プログラムなどのイベントで、僕がピッチに立つこともあります)。

つまり、代表レベルのフィジカル理論(監修)× Jリーガー経験者の現場(実指導)という二層構造。これがGRITcoaching 小学生コースの、僕が一番お伝えしたい強みです。グリットで教えていることは、全部プロになる上で必要なものです。器用じゃなかった僕自身がコツコツやり続けてプロへの階段を開けたように、お子さんが「一生懸命やろうね」と向き合える場を、僕たちは本気で用意しています。

一度、グラウンドで会いましょう

ここまで読んでくださったあなたは、きっとお子さんのことを本気で考えている方だと思います。その気持ちに、もう一つだけ選択肢を足させてください。

GRITcoaching では無料体験を受け付けています。来てくだされば、元Jリーガーの保崎コーチが、お子さん一人ひとりの走り方・姿勢・接触時の癖を見て、その場で声をかけます。成長期に安全で効果的なメニューは、元日本代表フィジカルコーチ・津越智雄の監修で設計されています。帰り道、お子さんの表情がいつもと違うこと、車の中でぽつりと「楽しかった」と呟くこと——僕はこれまで何度もそういう場面を見てきました。

「ちょっと試してみようかな」くらいの気持ちで大丈夫です。無理な勧誘は一切しません。お子さんが今のチームを続けるかどうかも、体験した後にゆっくり決めてもらえれば構いません。まずは一歩、グラウンドで会いましょう。

無料体験を申し込む

ほかの記事

まずは無料体験から

お子さまの可能性を、一緒に広げましょう。