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2026.10.30

試合で緊張して動けない…元プロが語る小学生サッカーのメンタルと親の声かけ術

WRITTEN BYこの記事を書いたのは

辻尾真二

辻尾 真二GRITcoaching 代表 / 元プロサッカー選手

2012 J1優勝元Jリーガーサイドバック

中学時代は地元の部活でプレーし、高校選手権での全国大会出場をきっかけにプロを目指す。清水エスパルス、サンフレッチェ広島(2012年 J1優勝)などでサイドバックとしてプレー。現在は「やり抜く力(グリット)」と科学的メソッドを軸に、小学生・中学生の指導にあたる。

選手経歴を見る
  • 2008-2012 清水エスパルス
  • 2012 サンフレッチェ広島(J1優勝)
  • 2013 大分トリニータ
  • 2014-2016 ツエーゲン金沢
  • 2017-2018 SC相模原

こんにちは。GRITcoaching の辻尾です。

「試合になると練習でできていたことができなくなる」「委縮してボールに触りにいけない」——こういったご相談、保護者の方から本当によくいただきます。試合の日に一生懸命応援しているのに、お子さんが緊張で動けない姿を見ると、どう声をかけていいかわからなくなりますよね。

小学生のサッカーで試合の緊張と向き合う問題は、保護者の皆さんにとって根深い悩みの一つだと思います。今日は、元プロ選手として毎週プレッシャーと向き合ってきた僕自身の経験と、GRITcoaching での指導経験をもとに、緊張の正体・試合前後の声かけ・日頃からできることを丁寧にお伝えします。

「試合になると動けない」は珍しいことじゃない

芝生の上の朝露に濡れたサッカーボール

緊張するのは、真剣にやっている証拠

まず、最初にお伝えしたいことがあります。お子さんが試合前に緊張するのは、全くおかしなことではありません。それはむしろ、サッカーに真剣に向き合っている証拠です。

緊張とは、脳と身体が「本番だ」と認識したときに起きる自然な反応です。情報通信研究機構(NICT)の研究でも、緊張による運動パフォーマンスの変化は「脳が練習で自動化した動きに再び意識を向けてしまう」ことで起きると示されています。要するに、体に染み込んだはずの動きを「ちゃんとやれてるかな」と頭が余計に確認しようとするんです。これは、それだけ真剣に取り組んでいる選手にこそ起きやすい現象なんです。

逆に言えば、試合を「どうでもいい」と思っている選手は緊張しません。お子さんが緊張するのは、「うまくやりたい」「勝ちたい」「チームに貢献したい」という気持ちの表れです。それ自体は、とても大切なものだと僕は思っています。

プロ選手も毎試合、緊張と向き合っていた

正直に言うと、プロになってからも試合前は緊張しました。清水エスパルス時代も、2012年のサンフレッチェ広島でJ1優勝を争っていたときも、「今日はどんなパフォーマンスを見せられるか」というプレッシャーは毎試合ありました。それがなくなることはなかった。

でもあるとき気づいたんです。引退した直後の気持ちを振り返ると、「ほっとした」という感覚が一番大きかった。毎週のポジション争い、試合の勝ち負け、日々のパフォーマンスを評価されるプレッシャー——そこからようやく降りられる、と。

その経験から言えるのは、緊張はプロでも消えないということです。でも、プロはその緊張を「活かす」ことを学んでいく。小学生のお子さんが試合前に緊張するのは、むしろ「いい緊張」を持てている状態です。問題は緊張の有無ではなく、その緊張とどう向き合うか、です。

子どもがサッカーの試合で緊張して動けない「本当の原因」

夜空の下に立つサッカーゴール

「緊張するな」という言葉が逆効果になる理由

お子さんが試合前に緊張しているとき、「緊張するな」「リラックスして」と声をかけてしまうことはないでしょうか。実は、この言葉は逆効果になりやすいんです。

心理学では「逆説的思考侵入効果」と呼ばれる現象があります。「緊張しないようにしよう」と意識すると、脳は「緊張」というワードにフォーカスしてしまい、むしろ緊張が増す。「ゾウのことを考えないでください」と言われた瞬間にゾウを思い浮かべてしまうのと同じ構造です。

「緊張するな」と言うのではなく、「いつもの自分でいい」「楽しんできて」という言葉のほうが、お子さんの気持ちをずっと楽にします。言葉一つで、子どもの状態は変わるんです。

保護者の「指示」が子どもの判断力を奪う

もう一つ、お伝えしなければならない大事な話があります。試合中にフィールドの外から「右に出せ!」「なんでそこに行くの!」と指示を出してしまっている保護者の方は、少なくないと思います。応援したい気持ちはよくわかります。でも、僕がずっと伝え続けているのは「応援はいい、でも指示はダメ」ということです。

なぜか。子どもが判断しようとしている瞬間に、外から指示が飛んでくる。すると「自分の判断でいいのか」という迷いが生まれ、緊張がさらに高まります。サッカーは判断のスポーツです。自分で判断できる選手が育つのは、判断できる場数を踏んでいるからです。試合の度に外から答えを与えられていると、子どもは「自分の判断を信じる力」を育てるチャンスを失っていきます。

声を出すなら、「ナイス!」「頑張れ!」で十分です。それだけで、子どもは安心してプレーできます。

外国人プロ選手のメンタルから学んだこと

スタジアムに並ぶ観客席

プロ時代、外国人選手と一緒にプレーして気づいたことがあります。彼らはミスをしても顔色一つ変えない。キックが正確でなくても堂々と要求してくる。「なんでそんなに自信があるんだ?」と不思議に思ったこともあります。

良し悪しはあるけれど、「ピッチ上でメンタルを平常に保つ」という点では、あのメンタリティは学ぶ価値があると今も思っています。場の雰囲気に飲み込まれない。ミスをしてもすぐ次のプレーに切り替える。これは生まれつきの性格ではなく、積み重ねで身につく技術だと僕は思っています。

彼らに共通していたのは、「自分にはこれだけの積み上げがある」という土台でした。裏を返せば、自信というのは根拠のある練習の積み重ねから生まれるんです。「これだけやってきたんだから、大丈夫」という感覚が持てると、試合の緊張は「怖い何か」ではなく「戦えるサイン」に変わっていきます。

保護者ができる「試合前・試合後の声かけ」実践ガイド

サッカースタジアムの赤い観客席

ここからは、お父さん・お母さんが実際に使える声かけのポイントをお伝えします。試合前夜、試合当日、そして競合記事がほとんど触れていない「試合後の声かけ」まで、具体的にまとめました。

試合前夜: 結果ではなく、プロセスを話す

試合前の夜は「明日は絶対点を取れよ」「勝ってね」という言葉はできるだけ控えてほしいんです。結果へのプレッシャーをかけると、子どもは試合中も「失敗したらどうしよう」というブレーキが働きやすくなります。

代わりに、「明日、一番挑戦してみたいことは何?」と聞いてみてください。プロセスや挑戦の話をすることで、試合を「評価される場」ではなく「試す場」として子ども自身が捉え直せます。目線を結果から切り離すだけで、翌日のプレーが変わることがあります。

また、ユニフォームや道具の準備はできるかぎりお子さん自身にやらせてください。小さな「自分でやれた」の積み重ねが、試合での主体性と自信につながっています。

試合当日: 「応援はいい、指示はダメ」を徹底する

先ほどもお伝えしましたが、試合中の保護者の声かけは「応援」に絞ることが大事です。「ナイスシュート!」「ドンマイ!」「頑張れ!」——こういった言葉は子どもに安心感を与えます。

「右に出せ!」「なんでそこにいるの!」といった指示は、お子さんの判断を止めます。もし試合中に「もっとこうすれば」と思う場面があっても、それは試合後に一対一で、落ち着いた場所で話す時間を作ってほしいと思います。試合中のフィールド横は、応援の場所です。

試合後: 落ち込んでいる子への声かけ(競合記事が扱わない大事な話)

試合前の声かけはよく話題になります。でも、試合が終わった後の声かけが実は同じくらい重要です。失敗したとき、思うようにプレーできなかったとき——帰りの車の中や夕食のテーブルで、どんな言葉をかけるかで、次の試合への向き合い方が大きく変わります。

まず、試合直後に反省を促すのは避けてほしいんです。「なんであそこで動けなかったの?」「もっとこうすれば良かったのに」——この言葉は、子どもがすでに自分の中で消化しようとしているときに追い打ちをかけてしまいます。

僕がよく聞くのは「今日、楽しかったこと一つ話して」という問いかけです。どんな試合であっても、楽しかった瞬間は必ずどこかにあります。その一つを引き出してあげることで、「サッカーは楽しい」という感覚を守れます。その土台があるからこそ、次の練習への意欲も生まれてくる。

もし子どもが落ち込んで何も話したくない様子なら、無理に言葉を引き出さなくていいです。「今日もよく頑張ったね」の一言と、普通の夕食を一緒に食べる時間が、一番のケアになることも多いんです。

うちの両親はサッカーに関して一切口を出しませんでした。金銭的に厳しいときもあったはずなのに、僕のチョイスを尊重してくれた。試合で結果が出なかった日も、普通に夕食を食べながら他の話をしていた。そこには感謝しかありません。その経験があるから、「見守ること」の力を僕は信じています。

小学生期のメンタルを強くするための日頃の習慣

「試合を意識した練習」が自信を作る

日頃の練習から、緊張を力に変えるメンタルを育てることができます。そのカギは「常に試合のことを考えてプレーしているか」という意識です。

スクールでも、「今の練習、試合のどの場面で使う?」と問いかけると、選手たちの目の色が変わります。ただボールを蹴るのではなく、「この動きを試合で使う」という意識を持って練習するだけで、練習の質が上がります。そして試合で「あの練習と同じだ」と感じる瞬間が増えていくと、緊張の中でも身体が自然に動き出す。「これだけやってきた」という積み上げが、自信に変わっていくんです。

ルーティンを作って「いつもの自分」を呼び出す

プロアスリートの多くが、試合前に独自のルーティンを持っています。「いつもと同じ」という感覚が、心理的な安定をもたらし、緊張の中でも「自分らしさ」を取り戻せます。

お子さんと一緒に、簡単なルーティンを作ってみてはどうでしょう。試合前にいつも同じストレッチをする、いつもと同じ音楽を聞く、試合前に3回深呼吸する——形はなんでも構いません。「いつもやっていること」があるだけで、場の雰囲気に飲まれにくくなります。

深呼吸は特におすすめです。ゆっくりと息を吸って、吐く。たったこれだけで、緊張で上がった心拍数を落ち着かせ、身体の力が抜けます。家でお子さんと一緒に練習しておくと、試合前に自分でできるようになります。

「楽しかったこと探し」を習慣にする

試合の後、「今日の楽しかったこと」「今日うまくいったこと」を一つ話す習慣を作ってみてください。結果や勝ち負けではなく、プロセスに目を向ける習慣は、長期的にメンタルを強くします。

小学生サッカーのメンタルを強くする方法は、特別なトレーニングよりも「サッカーが楽しい」という気持ちを守ることが基本です。楽しいから続けられる。続けるから上手くなる。上手くなるから自信が持てる。その循環を大切にしてほしいんです。

フィジカルの土台が整うことも、自信につながります。試合で当たり負けしない体が作れると、「自分の体を信じる」感覚が育ち、メンタルの安定にも直結します。この時期の身体の使い方については、こちらの記事も参考にしてみてください。小学生サッカーのフィジカル|元プロが語るゴールデンエイジの正解

GRITcoaching が取り組んでいること

GRITcoaching の小学生コースでは、元日本代表フィジカルコーチの津越智雄が監修したメニューで、スピード・持久力・筋力・柔軟性・バランスという5つのフィジカル要素を育てています。「これだけ動ける体がある」という実感が、試合での自信の土台になります。

通常のトレーニングは、元Jリーガーの保崎淳がメインコーチを務め、一人ひとりのプレーを丁寧に見ています。「できない」のではなく「今はまだ習得中」という視点で、子どもたちの成長に向き合っています。

メンタルの話は難しいと思われがちですが、自分の体を信じられる積み重ね、「これだけ練習してきた」という自信——その土台を作ることが、試合の緊張と向き合う一番の近道だと僕は思っています。コツコツやり続ければ、道は必ず開けます。

一度、グラウンドで会いましょう

「うちの子、試合になると動けなくて」と悩んでいるお父さん・お母さん、ぜひ一度 GRITcoaching の無料体験に来てみてください。お子さんが今どんな状態にいるのか、何が必要なのかを一緒に考えます。僕が直接お話しすることはできませんが、僕が設計した指導哲学と、元Jリーガーの保崎コーチのトレーニングを体感してもらえます。

サッカーを楽しんでいるお子さんの、その気持ちを守りたい。そのためにできることが、必ずあります。

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よくあるご質問

試合で緊張するのは、メンタルが弱いということですか?

そんなことはありません。緊張は「真剣にやりたい」という気持ちの表れです。プロ選手でも試合前は緊張します。問題は緊張すること自体ではなく、緊張とどう向き合うかです。小学生のうちは特に、「サッカーが楽しい」という気持ちを守ることが一番大切なメンタルトレーニングです。

試合中、保護者はどんな声かけをすればいいですか?

「ナイス!」「頑張れ!」「ドンマイ!」のような応援の言葉で十分です。「右に出せ」「なんでそこに行くの」といった指示は避けてください。指示は子どもの判断力を奪い、試合での緊張をさらに高める原因になります。試合中は純粋に応援する側に徹することが、お子さんへの最大のサポートになります。

試合で動けなかった後、子どもにどう声をかけるべきですか?

試合直後の反省は避け、まず「今日、楽しかったこと一つ話して」と聞いてみてください。サッカーへの楽しさを守ることが最優先です。もし落ち込んで話したくない様子なら、無理に引き出す必要はありません。「今日もよく頑張ったね」と言って、いつも通りの時間を過ごすことが一番のケアになることも多いです。

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