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2026.11.02

子供が「サッカーを辞めたい」と言ったら|元Jリーガーが教える親の対応

WRITTEN BYこの記事を書いたのは

辻尾真二

辻尾 真二GRITcoaching 代表 / 元プロサッカー選手

2012 J1優勝元Jリーガーサイドバック

中学時代は地元の部活でプレーし、高校選手権での全国大会出場をきっかけにプロを目指す。清水エスパルス、サンフレッチェ広島(2012年 J1優勝)などでサイドバックとしてプレー。現在は「やり抜く力(グリット)」と科学的メソッドを軸に、小学生・中学生の指導にあたる。

選手経歴を見る
  • 2008-2012 清水エスパルス
  • 2012 サンフレッチェ広島(J1優勝)
  • 2013 大分トリニータ
  • 2014-2016 ツエーゲン金沢
  • 2017-2018 SC相模原

こんにちは。GRITcoaching 代表の辻尾です。

「もうサッカー、辞めたい」。子供からある日突然そう言われて、胸が締めつけられた保護者の方は少なくないと思います。毎週の送り迎えや当番、月謝や遠征費、そして試合で一生懸命応援してきた時間があるからこそ、「あんなに楽しそうだったのに」「ここまで頑張ってきたのに」と動揺してしまうのは当然のことですよね。

そんなご相談を受けたとき、僕が最初にお伝えしているのは、「辞める・続けるの答えを、すぐに出さなくていい」ということです。子供の「辞めたい」の奥には、本音のSOSが隠れていることもあれば、ひと回り成長するための分かれ道が隠れていることもあります。この記事では、子供の心を守りながら、自分で前に進む力を引き出すための親の関わり方をお伝えします。

子供に「サッカーを辞めたい」と言われたら、まず日常を振り返る

芝生の上で一緒にボールを追う2人の子ども

親にとっては「突然」に聞こえるひと言でも、振り返ってみると、子供なりに小さなサインを出していたというケースは少なくありません。たとえば、こんな様子はなかったでしょうか。

まずは親自身のショックや焦りをいったん横に置いて、「何か苦しいサインを出していなかったかな?」と、お子さんの毎日を静かに振り返ってみてください。なお、練習前の腹痛や頭痛は、気持ちのしんどさが体に出ていることもあります。「仮病でしょ」と決めつけず、続くようならかかりつけの小児科に相談してみてくださいね。

少年サッカーで「辞めたい」と言われたとき、親がやってはいけない対応

子供から打ち明けられたとき、親が良かれと思って言った言葉で、かえって子供が心を閉ざしてしまうことがあります。特に避けたいのは次の3つです。

「ここまで続けたのにもったいない」「逃げるな」と叱る

続けてほしい気持ちが強いほど、つい口に出てしまう言葉です。でも子供からすると、「苦しいって言っちゃいけないんだ」「親をがっかりさせた」と感じて、次から本音を話してくれなくなってしまいます。粘り強く挑む力と、本当に苦しいときに助けを求めることは、まったく別のものです。理由を聞く前に、根性論でフタをしないであげてください。

理由を聞かずに「じゃあ辞めれば」と突き放す

反対に、「そこまで言うなら辞めれば?」とあっさり返してしまうのも、子供には「わかってもらえなかった」という気持ちだけが残ります。子供が求めているのは、辞める許可よりも先に、「今どれだけしんどいか」を受け止めてもらうことなんです。

大人の都合や世間体で引き留める

「今辞めたらチームの人数が足りなくなる」「当番や保護者同士の関係があるから」。どれも保護者にとってはリアルな事情です。でも、子供の心と体の成長より優先していい大人の都合はない、と僕は思っています。大人の事情は子供に背負わせず、「子供の気持ち」に焦点を当ててあげてください。

話を聞いたその日に結論を出す必要はありません。「話してくれてありがとう。しんどかったんだね。どうするかは一緒にゆっくり考えよう」。まずはこのひと言で、子供を安心させてあげることを優先してください。

小学生がサッカーをやめたいと言う3つの理由

放課後のグラウンドでボールを追う小さな子どもたち

子供が「辞めたい」と口にする理由は、大きく分けると次の3つに集約されることが多いと感じています。アメリカの Aspen Institute などが2025年に10〜17歳の約3,800人を対象に行った調査でも、スポーツを辞めた子が嫌だったこととして、「自分は十分うまくない」と感じること(29%)や指導者の問題(21%)が挙がっています(出典: Project Play)。

チームの人間関係や、指導者の怒鳴り声

仲間からのからかいや孤立、ミスをするたびに飛んでくる大きな声。こうした環境では、子供は「失敗=悪いこと」と感じて、体が縮こまってしまいます。萎縮した状態では、上達どころか、サッカーを楽しむことすら難しくなります。JFA(日本サッカー協会)も暴力や暴言の根絶を掲げていて、専用の相談窓口を設けています。試合で体が固まってしまう子への関わり方は、試合で緊張して動けない子のメンタルと親の声かけの記事も参考にしてみてください。

伸び悩み、体格差、試合に出られない悔しさ

小学校高学年から中学生にかけては、体が大きくなる時期に個人差がとても大きくなります。早生まれの子や小柄な子が当たり負けしたり、自分だけベンチの試合が続いたりすると、「自分は下手だから」「頑張ってもうまくならない」と自信をなくしてしまいます。でもそれは、今はまだその動きを身につけていないだけなんです。

僕自身、プロになってからも、良いパフォーマンスをしているつもりなのに試合に出られない時期がありました。そこで学んだのは、要因を外に向けるのではなく、自分にベクトルを向けて「どう合わせていくか」を考えることでした。ただ、これは子供に押し付けるものではありません。「出られなくて悔しい」と言えること自体が、すでに前を向いているサインなんです。

親の期待や熱意が重荷になっている

見落とされがちなのが、親の関わり方です。先ほどの調査では、「やりたくないのに親にやらされた」と答えた子は、辞めた子で21%、続けている子では9%でした。「他の子と比べられた」も、辞めた子のほうが多くなっています。

試合中のサイドラインからの指示、帰りの車での反省会、家での自主練の強制。上手くなってほしいという熱意が、子供には「監視」や「プレッシャー」に変わってしまうことがあります。僕が保護者の皆さんにいつもお伝えしているのは、「応援はいい、でも指示はダメ」ということです。うちの親は、サッカーに関して一切何も口を出さず、僕のチョイスを優先してくれました。金銭的に難しいときもあったはずなのに、です。そこには感謝しかありません。

「乗り越える壁」か「環境を変える潮時」か——やり抜く力の視点で見極める

スポットライトに照らされたサッカーボールと野球・テニスのボール

GRITcoaching がいちばん大切にしているのが、スクール名の由来でもある「グリット(やり抜く力)」です。心理学者アンジェラ・ダックワースさんの研究で知られるようになった言葉で、「長期的な目標に向けた情熱と粘り強さ」を意味します。

ダックワースさんは、家族のルールとして「辞めてもいい。でも、シーズンの終わりなど区切りのいいところまではやる。そして、何に取り組むかは自分で選ぶ」という考え方を紹介しています。気分の乗らない日に勢いで辞めない、ということですね。

ただし、僕はこう考えています。グリットは、理不尽な環境や暴言に耐え続けることではありません。「サッカーが好き」という情熱があってこそ、粘り強さは生まれるものです。

「乗り越える壁」のサイン(続けることを支えたいケース)

この場合は、小さな成功体験を積み重ねたり、努力の方向を一緒に整えてあげたりすることで、壁を越えてぐっと伸びるチャンスになります。

「環境を変える潮時」のサイン(移籍や休会を考えたいケース)

こうした状況なら、区切りを待つ必要はありません。他のチームへの移籍、スクールへの切り替え、一時的な休会。環境を変えることは決して「逃げ」ではなく、子供の尊厳と、いつかまたサッカーを好きになれる心を守るための前向きな選択です。環境を選ぶときは、強いチームかどうかより「その中で中心になれるか」が大事だと僕は思っています。詳しくは環境選びについて語ったインタビュー記事や、サッカースクールの選び方の記事にまとめています。

いじめ・暴言・体罰・心身の不調があるときは、専門の窓口へ

暴力や暴言、いじめが疑われるとき、心や体の不調が続いているときは、家庭やチームの中だけで抱え込まないでください。次のような公的な窓口があります。

受付時間などは変わることがあるので、各公式ページで最新の情報を確認してください。

やる気がない子供への声かけ——自分で選ぶ力を取り戻す3つのステップ

深刻なケースでなければ、次は子供の本音を引き出す対話です。僕がおすすめしているのは、この3つのステップです。

ステップ1:否定もアドバイスもせず、気持ちを受け止める

「そうか、辞めたいと思うくらいしんどかったんだね」「話してくれてありがとう」。まずは子供の言葉をそのまま繰り返して、味方であることを伝えます。「でもね」「お父さんが子供のころは」という正論は、ぐっとこらえてください。

ステップ2:「何が一番しんどいのか」を言葉にする手伝いをする

気持ちが落ち着いてきたら、問い詰めにならないように聞いてみます。

「コーチに怒られるのが怖い」「ボールを持つと何をしたらいいかわからなくなる」など、具体的なことが見えてくれば、解決策を一緒に探せます。

ステップ3:答えは大人が決めず、子供自身に選ばせる

「コーチに相談してみる?」「別のスクールを体験してみる?」「2週間だけ休んでみる?」。いくつか選択肢を出したうえで、最後は子供に選んでもらいます。心理学の自己決定理論でも、「自分で選んでいる」という感覚(自律性)が、内側からのやる気を支えると考えられています。やらされるサッカーから、自分でやるサッカーへ。その切り替えのきっかけになるはずです。

子供が「辞めたい」と悩む時間は、親子で成長するチャンス

僕自身、器用な選手ではなく、本来なら先発に入るような選手でもありませんでした。それでも、コツコツ自分のやるべきことをやり続けたことで、プロへの階段が開けました。そして、サッカーについて口を出さずに僕のチョイスを優先してくれたうちの親には、今も感謝しかありません。

子供がサッカーを辞めたいと悩む時間は、決して無駄な遠回りではありません。親子で本音を話し、自分の進む道を自分で選ぶ経験は、サッカー選手としてだけでなく、一人の人間として大きく成長するきっかけになります。続けても、環境を変えても、いったん離れても、それを子供自身が選んだのなら、その経験はきっと次につながります。

そして、「サッカーは好きだけど、今の環境がつらい」という子も少なくありません。GRITcoaching では、小学生は元日本代表フィジカルコーチの津越智雄さんが監修した「フィジカル5要素」のトレーニング、中学生はドイツの BoS 理論に基づくサッカーIQのトレーニングに取り組んでいます。普段のトレーニングは、元Jリーガーの保崎淳がメインコーチとして担当しています。何より大事にしているのは、子供の成長を第一に考えること、そして指導者も子供も一緒に楽しむことです。

まずは一度、グラウンドに来てみてください

GRITcoaching では無料体験を受け付けています。「辞めたい」の背景には、伸び悩みや人間関係など、お子さんなりの大切な理由があります。環境や関わり方が少し変わるだけで、「楽しい」「もっとうまくなりたい」という気持ちを取り戻す子もいます。今のお子さんに何が必要か、僕たちと一緒に考えさせてもらえたらうれしいです。

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